日経ピュータ(2013/2/21)企業ソーシャルt特集から。記事が象徴する「ソーシャル」検討の誤解

| 2013年2月26日

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日経コンピュータの2月21日号「Close Up」で企業ソーシャル特集が掲載されており、Notes や SharePoint のような従来型グループウェア製品の機能拡張、EverNote や Zyncro のような新製品が紹介されている。最近の製品トレンドを把握する、という目的で完結にまとめれられており、お勧めできる(個人的には Yammer と YouRoom が紹介されていないのが残念だが)。

しかし、その一方で、企業ソーシャルの切口として挙げられているのが「タイムラインといいねが存在する」「スマートフォンに対応」「グローバル/クラウドに対応」の三点であることは(残念ながら悪い意味で)象徴的だと思う。

以前の記事(ソーシャル/エンタープライズ・ソーシャルとは。その定義を考える)で書いたが、ここで挙げられている要素はいずれも「アプローチとしてのソーシャル」だ。つまり「ソーシャルメディアのような機能」に過ぎない。

忘れられがちだが、ソーシャルメディアは、Twitter にせよ Facebook にせよ、決して特別に新しい仕組みではない。クローズドフォーラム、会員制メディア、ブログ、Web拍手、RSSリーダ、メール通知、レコメンドなど、従来型システムのエッセンスを特定の目的に即してまとめあげることで構成されている。

だからソーシャルメディアは(インターネット上に存在することも含めて)総体でひとつのシステムであり、その特徴的な仕組み(いいね、ニュースフィード等)だけを模倣しても Facebook と同じ効果を生むことはできない。

ユーザー側の事情として「ソーシャルメディアのような使い勝手の情報共有支援ソフトなら「組織の壁を越えたやりとりの活性化」「個々の従業員が持つ知識の見えるか」が進むはず、という期待感がある

この期待こそが最大の誤解/間違いであることを強調しておきたい。同じ言葉を、例えばグループウェア、フォーラム、ブログや WIKI でも聞かなかっただろうか?

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もし本当に「ソーシャルメディア的な」効果を Web とは異なる環境である「企業内」で実現しようとするのであれば、その為に何が必要なのか、自社環境(ビジネス領域や組織体制、文化、ユーザーのデジタルリテラシー、コミュニケーションスタイル)に即したスタイルとシステムを、徹底的に模索する必要がある。

その結果、Facebook/Twitter ライクなシステムが有効、と判断されるのあれば、この記事で紹介されているようなシステムを是非検討して欲しい思う。

ちなみに私のごくごく個人的なお薦めは、単体利用ならファイル管理機能とワンセットの Zyncro、グループウェア的なものが既に存在して補完関係を組むのなら YouRoom だ。もちろん、Notes や SharePoint、サイボウズなどの有名システムがすでに存在するなら、その機能をまず試してみるのも良いだろう。

システムを導入しても業務は変わらない。企業を変えようとするリアルな取り組みが先にあり、その実現を支援する道具(のひとつ)としてシステムがある。当前のことではあるのだが、こと「ソーシャル」はアピールが派手なためか、この点が忘れられがちなのが問題かもしれない。

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