[数字] 企業ソーシャル導入の成功率は「7%」でアクティブな発言者は「5%」

| 2013年4月21日

socialnumbers

企業ソーシャルの実践に関わる、幾つかの数字を紹介する。

企業のソーシャル技術導入、成功率はわずか10%
米国Gartnerが世界1,000以上の企業/組織を対象とした調査によると、70%の企業/組織でソーシャル・ネットワーキング技術が利用されているにもかかわらず、導入したあと運を天に任せるだけ(Provide and Pray)というアプローチが災いし、利用が成功しているケースは10%程度にとどまっているという。

なお原文(リリース)はこちら。「10%」とあるが、70 %の導入率で 10 %の成功ケースなら、実際の成功率は僅か 7 %ということにならないだろうか。まあ、細かな数字はさておくとして、世界レベルでも企業ソーシャルの導入は Provide and Pray になりがちであり、そのため目に見える成果に繋がらない、という傾向があることは認識しておく必要があるだろう。

“Provide and Pray” 方式とは、導入したソーシャル・コラボレーション技術を通じてコミュニティが自発的に作られ、参加者同士のやり取りが何らかの事業価値をもたらすなど、よい結果が自然に生まれることを期待するものだ。しかしながら、このアプローチで成功することはまれだ。失敗する根本的な原因は、コミュニティの形成を促したり、参加者がコミュニティに知識や労力を提供する動機づけとなる、説得力のある理由を企業が持っていないことだ。簡単に言えれば『目的の欠如』にある

本来、企業システムの導入プロセスにおいて、システムの導入目的、ひいてはシステムがビジネスにもたらす価値効果を精査することが不可欠であることは、IT関係者なら誰であれ熟知していることだ。にも関わらず、導入すれば何か新しい効果が生まれるかもしれない、という漠然とした期待で導入に動く企業が多いのは、Webにおけるソーシャルメディアの隆盛があまりにも大々的で、眩しいからかもしれない。記事では、ソーシャルネットワーキング導入を成功させるキーポイントとして「参加者にとって魅力のある目的」「コミュニティを引き寄せる魅力」「事業としての価値」「発展の促進」が挙げられているが、これらはいずれも「ソーシャル」特有のものではないことに注意を払うべきだ。

グローバル企業になるためのインフラを!楽天がYammerで目指す社内ソーシャルとは
楽天では「社内Facebook」とも呼ばれるSNS「Yammer」が導入されているとのことですが、その経緯はどのようなものだったのでしょうか? / 元々は、2009年から有志の社員で無料版を使っていました。あるとき、社長の三木谷が開いている「寺子屋」という社内横断の勉強会の中で「組織の壁を取り崩すようなメディアが必要だ」という議論になりました。それで、Yammerが草の根的、実験的に広く使われ始めました。

こちらは楽天の事例。楽天では Yammer を採用し、社長である三木谷氏も積極的に発言している。ここでは、Yammer は M&A で事業を広げる楽天の事業モデルと連動した戦略的ツールとして位置づけられている。

海外へビジネスモデルを輸出すると言っても、経営陣だけがコミュニケーションをしていればよいのかというとそうではありません。例えば、日本で楽天市場を担当している社員が、明日ブラジルに行って現地の子会社の社員とすぐに連係して作業に取りかかれるようにするなど、現場レベルで横でつながっていかないとスピード感が出ません。そのときに、海外も含めて全社的にフラットにコミュニケーションできるようにするという意味で、Yammerは戦略的ツールだと思います。 / 社内SNSというと、漫然と社内の風通しを良くするというような目的で導入する会社も多いようですが、楽天は戦略を実現するためのツールという明確な位置づけなのですね。

ただし、やはりユーザーの取り込みには苦慮しているようだ。

Yammerには約8,000名のユーザー、1,000以上のグループがありますね。 / 順調に普及しているんですね。 / しかし、自ら発言してくれるひとの数が思ったよりも伸びていないのが正直なところです。登録ユーザー全体のうち5%以下ぐらいでしょうか。本当は10%ぐらいのひとが発言してくれていると盛り上がっている感が出るんですが。 / 開発に所属している方のつぶやきが目立ちますね。営業部にはあまりまわりに振りまく話題がないひともいるみたいです。

個人的にはこの「5%」という数字に注目している。「10% が発言すれば盛り上がり感が出る」という担当者の感想も含め、企業内ソーシャルにおける普及の閾値として考えることはできるだろうか?他データともつきあわせて検討してみたい。

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