意外にも実用性が高い(かもしれない)サンコー「キーボード搭載 空中マウス」レビュー

| 2013年1月27日

懐具合が潤沢なら、ついつい「特徴的なガジェット」を試したくなるのが私の悪癖のひとつ。今回はサンコーから発売された「キーボード搭載 空中マウス」を購入したので、レビューしてみたい。

サンコー、空中でポイント操作可能なキーボード付きマウス
サンコー株式会社は、空中でポイント操作が行なえるキーボード付きの無線マウス「キーボード搭載空中マウス」を発売した。(略)空中の本体の傾きでマウスポインタの操作が可能なマウス。リモコンのようなフォルムでキーボードも備えており、文字入力も行なえる。
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20130122_584515.html

外箱。

本体以外の付属物は、A4一枚のマニュアル、USBドングル、充電用のミニUSBケーブル。

本体を手でホールドしたところ。サイズは iPhone 4S より少し幅狭で、少し縦長。つまり iPhone 5 に類似している。実のところ、箱のデザインといい、意識しているとしか思えない。

筐体はプラスチック製で、とても軽いのだが、黒/銀という落ち着いた色彩で、チープ感はあまりない。造りも丁寧な印象だ。ボタンの部分は樹脂でしっかりした「押下」感がある。だが、流石にこのサイズでは、両手を使ったブラインドタッチは無理だろう。キーボードを利用する際は、両側からホールドして親指二本での操作が基本だ。

裏蓋は着脱式で、スペースに USB ドングルを格納できるようになっている。

ポインタとキーボードの実用性は?

USBドングルを対応デバイスに挿すと自動的に認識され、マウス兼キーボードとして利用できるようになる。だが、ポインティングデバイスとしては、一言で言うと「微妙」だ。上記記事によるとジャイロでマウスの動きを判定しているようだが、やはり動きが大雑把で、普通のマウスでするような細かな作業には向かない。

キーボードは、(当然ながら)基本的なキーはすべて用意され、問題なく利用する事が出来る。Windows キーはもちろん、Print Screen や Sleep、ボリュームコントロールまである。Ctrl + V のような複数キー押しにもきっちり対応する。

また、特殊な物理ボタンとして、キーボード利用時には[OR]ボタンを押すことで、マウス機能を一時的にオフし、誤動作を防ぐことができる。筐体横の [<] [>] ボタン(スマートフォンならボリューム調整がある位置)で、上下スクロールができる。どちらも実用的だ。

惜しい点は多い

しかし、そこは「特徴的な製品」、つまりキワモノ。ポインタの精度以外にも、惜しい点は少なくない。

「ダブルクリック」と相性が悪い。本体右端、つまり縦持ちの上部に物理ボタンがあるのだが、ポインタをあわせてボタンを二回押す際、その衝撃でポインタがずれてしまう。

その物理ボタンは右が「クリック」、左が「右クリック」になっている。右手でホールドすることを前提にした仕様なのだとは思うが、少なからず違和感がある。

ポインティングは縦持ちが前提の設計で、キーボードを利用するために横持した状態ではポインタが意図通りに動かない。左右は問題がないのだが、上下に動かすためには、本体右側を(つまり右手だけを)上に動かす必要がある。そのため、マウスとキーボード、両方を利用するには、どうしても都度、持ち替えなくてはならない。これは非常に惜しい。

キーボードは基本的に Windows 向けのようで、Mac OSX の場合は「かな」キーがなく入力を日本語に切換えられない。もっとも、Mac 側のキーコンフィグ設定で対応できるかとは思うが、Android はどうしようもない。

USB 接続であること。つまり iPhone や iPad では利用できない。もちろんそれは承知の上で購入しているのだが、実際に利用してみるとやはり iPhone のキーボードとして使いたくなった。惜しい。Bluetooth 接続ができれば…

Windows 8 がサポート外。USB ドングルを挿すとエラーが表示される(おそらくドライバーがない)。ただ、実際には無視して使うことはできた。

裏蓋が開け難い。USB ドングルを出し入れしていると、いつかツメを折りそうだ。

充電中は、SDカードリーダーとして利用できるのだが、その意義が謎。

フルキーボードの存在が評価を左右する

肝心のポインティングが微妙(類似製品に比るという意味ではない)で、それなりの大きさがあるため、一般ユーザーはより小型の(普通の)ワイヤレスエアマウスを購入した方が良いだろう。しかし、私のようなIT関係者であれば、フルキーボードの存在は大きいかもしれない。

私自身について言えば、この「キーボード搭載 空中マウス」には、実用性という意味で 100 点をつけられる。

私はコンサルタントとして、勉強会やセミナーでプレゼンテーションを行う機会が多い。その際、どうしても PC を操作するために、その側を離れられないことが不満だった。もちろん、市販のプレゼン用レーザーポインターにはスライド操作機能を備えたものが多いのだが、大抵それでは足りない。スライドの送り/戻しだけでなく、ページ遷移やブラック/ホワイトアウトも使いたい。時には一旦プレゼンを中断して動画を再生したりブラウザを立ち上げたい。

だがこの「キーボード搭載 空中マウス」なら、その問題がすべて解決する。ポインティングの微妙さも、事前にショートカットキーを仕込むなどすれば全く問題がない。

もちろん、これは私個人のニーズにたまたまマッチしたに過ぎないのだが、しかし「フルキーボードが使える」という利点は、ハマれば非常に大きいと言えるだろう。値段も手頃(高すぎないという意味で)なため、もし何か役立ちそうなシチュエーションを思いつくのであれば、ぜひ試してみて欲しい。

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