Office 365 の Pプランで独自ドメインメールのみ既存の別サービスを使用する(ムームードメイン+ロリポップ)

| 2012年12月25日

Office 365 はメール(Exchange)、グループウェア(SharePoint)、オンラインメッセージング(Lync)、クライアント(Office)を包含した総合サービスだが、時には一部機能をあえて利用ない、という選択もある。例えば、すでに独自ドメインでメールを利用しており、ドメインは Office 365 に追加するが、メールは既存サービスをそのまま継続したい場合だ。ここでは、Office 365 の Pプラン、ムームードメイン、ロリポップ、という組合わせでの設定を説明する。

なお、この投稿は Office 365 Advent Calendar 2012 に参加している。

事前準備:ムームドメインとロリポップで独自ドメインを設定

まず、ムームドメインでドメインを取得(購入)。それをロリポップに登録し、独自ドメインでメールが利用できるようにする。実際にはこのプロセスは既に実施済みだろう。もし新規登録する場合、ロリポップに独自ドメインを登録した際、その最後でムームードメイン側のネームサーバ設定を行うよう指示されるが、これは行わないでおく。

事前準備:Office 365 にドメインを追加

Office 365 に独自ドメインを登録する。手順については、以前の記事を参照して欲しい。ただし、【4.Office365:ドメイン確認を実行】で一旦止めること。つまり【5.ムームードメイン:ネームサーバをOffice 365に切替】と【6.Office365:ユーザに新ドメインアドレスを割当】は行わない。その二つは飛ばした上で【7.Office365:SharePointOnlineのアドレス変更】は行う。これで、下図のように独自ドメインが「確認済み」で、かつ「SharePoint Web サイトのアドレス」が独自ドメインになる筈だ。

Office 365 のレコード情報を取得

ただし、この段階では、独自ドメインのアドレスにアクセスしても Office 365 Webサイトは表示されない。まだムームードメイン側で必要な設定が行われていないからだ。

標準的な手順では、最後にムームードメイン側に Office 365 から指定されたネームサーバ(通常は ns1.bdm.microsoftonline.com と ns2.bdm.microsoftonline.com)を設定する。これにより、独自ドメイン URL へのアクセス管理が、ムームードメインから Office 365 側に「委託」される。Office 365 Pプランでは、必要な DNS 設定はすべて自動で行われるため、ユーザーが直接操作することはない。

しかし、今回はメールについて Office 365 以外のサービスを利用したい。そのため、Office 365 の自動設定を利用せず、ムームードメイン側に必要な設定を手作業で行う必要がある。

この設定には、「本来 Office 365 が自動設定する情報」が必要になる。
管理ポータルで、独自ドメインを選択して「DNS の管理」をクリックする。

各種 DNS レコードが表示されるのでこの値を控える(実際にはコピペ&ペーストするため画面を開いておけばよい)。

ムームードメインのムームーDNSをカスタム設定する

ムームードメインで、その独自ドメインが「ムームーDNS」を使用するよう設定する。更にその「カスタム設定|設定1」で、メールは「ロリポップ」、Webサイトは「利用しない」に設定する。

次に「カスタム設定|設定2」に、前のステップで取得したレコードのうち、メールに関連しないもの、具体的には「outlook.com」を含まないレコードを登録する。

最後にセットアップ情報を保存して設定を終わる。設定がネットワーク全体に反映されるまでに数時間~一日かかる場合もあるので、しばらく待つこと。これで独自ドメインをメールはロリポップ、Webサイト等は Office 365 という並立運用ができる。

制約事項と注意点

この設定は Office 365 からすれば変則的なため、いくつか制限や注意がある。

まず、ムームドメインは SRV レコードを設定することができない。日本のドメインレジストラでは大抵不可なのだが、この影響で独自ドメイン適用後は lync で他テナントと通信することができなくなる。つまり、標準の P プランから機能ダウンする。これは E プランでも発生する問題で、ドメインレジストラを変更(Amazon Web Service の Route58 など)するしかない。

加えて、Office 365 の各種レコードは、予告無く変更される場合がある。その場合、都度、ムームドメイン側の訂正が必要だ。

また、そもそもではあるが、ドメインやネットワークに関連した設定は、ひとつ誤ればサービスそのものが利用できなくなる危険性が常にある。できれば試用版を利用するなどして十分なテスト/リハーサルの上、あくまで自己責任の範疇で行って欲しい。

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